好きこそモノの上手なれ

ほぼ百合成分100%(リリカルな感じ)で構成されております。但し過度の期待は禁物です。




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眠る魔王を起こしたのは誰だ! :: 2012/04/15(Sun)

一番得をしたのは誰でしょう・・・・



教導官? or 執務官?









■   □   ■   □   ■   □



その通信が彼女の元に届いたのは、間もなく20時を過ぎようかと言う頃。


リビングで1人本を読んでいた。


一緒に過ごせるはずだった蒼眼の彼女は急な予定が入ったとかで夕飯は一緒に食べれないと夕方連絡が入っていた。2週間ぶりに、やっと一緒に過ごせるはずだったのにと少し拗ね気味だった彼女に自分はまだあと2日は休みだから、食事はまた一緒に出来るよと伝え、いってらっしゃいと送り出した。

モニターの向こうでは可愛らしくむぅとした顔をしながら、それでも仕方ないなぁと重たい腰を上げる彼女。出来るだけ早く帰るからねという言葉に、わかった、待ってると手を振ると小さく行って来ますと返事が帰ってきた。





(1人で食事してもつまらないんだけどな)

と思いつつも、もしこれで自分が食事を抜こうものなら明日からの2日間の休暇に何らかの支障を来たす可能性が高いのはこれまでの経験からほぼ間違いはなく、だから食事を抜くと言う選択肢は当然却下。

とすると

(簡単につまめるものを作るか、買ってくるかなんだけど)
(う~ん)

と考えて、結局冷蔵庫にあるもので簡単に済ませようと言う結論に達した。



1人の食事と言うのは味気ない変わりに時間は殆ど掛からない。フェイトは夕食後の時間をコーヒー片手に読書してなのはを待つことにした。






pipi、pipi

(あれ?なのはからだ)

メールの受信を知らせる音に今の時刻を確認すると、時計の表示は19:55。映像通信でも、音声通話でもない連絡。珍しいなと思いながらそれを開封した。

「う~ん?」

開いた文面はいたって簡潔。用件のみの素っ気ないもの。なのはにしては非常に珍しい。だから余計に重要な事なんじゃないかとフェイトは思った。けれど・・・・・

(誰かと一緒なのかな?)

一緒にいる誰かに気遣って、気が付かれない様に送られたメールかと推測された。まぁ確かに手段がなければ重要な連絡事項ではあるのだが、時刻を見る限りそれも考えにくい。なら・・・

(まぁ、いっか・・・・けど、これは?)

内容も至って普通。機密性も危険性も、ましてや任務には一切関係のないものだと言う事もあって、フェイトはあっさりとその内容について追及するのを止めた。

なのはの願いの書かれたメール。希望の内容は簡単に達成できる。むしろそれは嬉しい事。自分とて早くなのはに会いたいのだから。けれど、最後の一文だけは訳が分からなかった。









緊急出動も予定外の教導も入ってこなかった今日。なのはは定時に上がれる事をただ喜んでいた。

(久しぶりにフェイトちゃんと一緒に食事ができる)
(何を食べようかな?)
(ずっと船だったから食事も簡単に済ませちゃってるだろうし)
(折角だからフェイトちゃんの好きなものたくさん作ろうかな)


今日から3日、フェイトと一緒にいられる事に浮き足立つなのは。もちろんなのはは明日も仕事なので、一日中一緒と言う訳にはいかないけれど、それでも同じ屋根の下で同じ時間を過ごせるのだから自然と口元が緩むのは仕方のない事、10分おきに時間を気にしてしまうのは許して欲しいと思うのだ。そんななのはの元に非情の連絡が入ったのは勤務終了時間の30分前の事だった。









《どういう事ですか?隊長》

相手に向ける顔はいつもの優しい笑顔。けれど見る人が見たらそれはとても危険な笑顔な訳で。隊長と呼ばれた男性に念話を飛ばすなのは。

《すまん、なんとか堪えてくれ》
《嫌です》

あくまでも表面上は笑顔。管理局のエースオブエースと呼ばれるに相応しく折り目正しいその所作に、対面に座って若干緊張気味の男性はチラチラと隣の年配の男に助けを求めるような視線を送る。


「君の活躍は私の耳にもよく届くんだ。さすがはエース。我が時空管理局の期待の星と言うわけだな」
「・・・・ありがとうございます」

ガハハハハとお世辞にも貫禄のある笑い方だ、などとは言えない様な下品な笑い方にピクリとなのはのこめかみが動く。隣に座っている上司はそれをモロに目にして背中に冷や汗が流れるのを感じていた。

《いつまでこんな茶番を続けるんですか》
《この食事の間だけでいい。だから堪えてくれ》
《本当にそれでいいんですね?》
《あ、当たり前だ。見ろ、豪華な食事だろ。ただでこれを食えるんだ。楽しめ!》
《無理です》

いくら豪華な食事だと言ったって、一緒に食べる相手がこんなでは折角の料理も台無しだ、となのはは思う。きっとこの人達は、有名なシェフが高価な食材を使って作った豪勢な料理というだけで満足なんだろう。

(フェイトちゃんに作ってもらった食事の方が数万倍美味しいのに)

考えるのは愛しい彼女の事ばかり。それだけがこんな下らない茶番・・・所謂「お見合い」を乗り切る為の今のなのはの精神安定剤だった。なのに・・・

「ウチの息子はトップの成績で執務官試験を合格してだな・・・」

と目の前のどっかの(多分)偉い人間が言っている。最初に自己紹介された筈なのだが、なのはの脳内では、それを覚える必要はない情報としてあっさりと消去されていた。

「これからの管理局になくてはならない男なんだぞ」

息子の見合いの席だと言うのに、父親ばかりが話す息子自慢になのはだけではなく、さすがの隊長もうんざりし始めていた。そんな空気をちっとも読まない父親と、それをさも当然の事といったような顔をする息子。まさにこの親にしてこの子あり、である。

さすがにいつまでも笑顔でいるのも疲れかけてきた頃、このバカ息子がとんでもない爆弾を落とした。

「この間、異次元世界での密輸グループの一斉検挙があったのはご存知ですか?」
「え?ええ、知っています。長い間掴めなかった密輸ルートを今回派遣されたチームの方々が見つけて、かなりの広範囲に渡ってグループが確保された事件ですね?」
「そうです。実はあれを指揮していたのが僕なんです」
「え?」

その事件の事はよく知っていた。何しろ今現在、家でなのはの帰りを待ってくれている海のエース。フェイト・T・Hが陣頭指揮をとって解決した事件だったからだ。

「でも、指揮は違う執務官だと伺いましたけど・・・」
「ああ、もしかしてハラオウン執務官の事かな・・・。いや途中までは確かに彼女の指揮でした。ですが、エースと持て囃されていい気になっていたのでしょうね、思うように捜査が進まなくて、僕に泣きついて来たんですよ。全くエースと言っても女性ですからね。男社会の管理局内ではどうにも・・・・あぁ、あなたは違いますよ。高町教導官」
「・・・・・」


《隊長、もう無理です》
《堪えろ!!高町!》

ブチッ!!

何かが切れる音がした。


すっと、なのはが椅子から立ち上がる。

「高町さん?」
「すみません。ちょっと・・・」
「あぁ、どうぞ」

笑顔でそういう男と父親。そして若干青ざめた表情の上司を残しなのははお手洗いへと向かった。











「すみませんでした」

数分後、いつもの笑顔のなのはが見合いの席に戻る。その顔を見た上司は、全てを悟ったように項垂れた。

それから、食事が終わるまでなのはは相手の親子の自慢話を適当な相槌を打ちながら聞き流していた。

そして

「今日はご馳走になりました。では、私はここで」
「いやいや、若い者はこれからが本番でしょう?」
「いえ、申し訳ありませんが私は明日も仕事がありますので」
「それなら、僕がご自宅まで送って行きますよ。女性の一人歩きは危険ですから」
「ありがとうございます。ですが1人で大丈夫ですので」

食事を済ませさっさと帰り支度を始めたなのはに案の定目の前のエリート執務官が慌てだす。送ります、結構ですと押し問答を繰り返し、痺れを切らせた男がなのはの肩を掴んだちょうどその時、シュッとエアの抜ける音がして自動ドアが開いた。


「嫌がる女性に力ずくと言うのは感心しませんよ」

たった今やってきた者がそんな言葉と共になのはの肩を掴んでいた腕を取りそれを捻りあげる。

「ぐわっ、き、貴様っ!何を!!僕を誰だと思って、っ」

顔を歪ませその腕を振り解く男。振り向きざまその声の主に浴びせた罵声は、その人物を見た瞬間尻すぼみとなって消えた。

男の腕を捻り上げた人。その人は漆黒の執務官服を着用した女性。さらさらの金糸のような髪はいつものようには纏められてはおらず、下ろされたまま。入店した時の苛立ちの見えた赤い瞳は今はとても穏やかにただ一点だけを見つめていた。

「待たせたかな?なのは」
「ううん、ちょうどいいよ。フェイトちゃん」
「なっ!!」

さっきまで一緒に食事をしていた人に向けられた優しい言葉。そして親しげに呼ばれる彼女の名前。男はただ驚きに目を丸くしていた。

「あれ?キミは、確か・・・・」

そんな男にフェイトが気づく。

「お、お疲れ様です!!ハラオウン執務官殿」
「あ、うん。お疲れ様。なんだキミと一緒だったんだ」
「はっ」

お互いを認識した途端、男の態度が一変した。直立不動でピシッと敬礼をしたまま動かない。額からはタラタラと零れる脂汗。目は落ち着きなく揺れている。チラチラとなのはに視線を送っては反らし、今にも泣き出してしまいそうだった。

「帰ろうか、フェイトちゃん」
「え、いいの?」
「もちろん。いいんですよね」
「はっ、今日はありがとうございました!!」

なのはの言葉にぐわっと頭を下げる。勢いが良過ぎて床に頭がつくんじゃないかと思うほど深々と。

「隊長?」
「ん?あぁ・・・そう、だな。うん。ご苦労だった」
「はい。では失礼します」

なのはは隊長に向かってだけ軽く敬礼をしその場を後にした。














「楽しそうだね。なのは」
「え?ああ、だって、これくらいは、ね」

フェイトが車を止めている駐車スペースまでの道すがら、いつまでたってもにやけたままのなのはにフェイトが呆れたように声をかける。

「やっと分かったよ。執務官服で来てっていう意味が」



フェイトに届いた1通のメール


『もうすぐ終わるから迎えに来て。場所はーーー。来る時は執務官服で来て。絶対だよ』



「彼は一体なのはに何をしたの?」
「ん~別に?」
「それにしては、彼随分怯えてたみたいだけど」
「大した事じゃないよ。人の功績を自分の物にしようとしただけ」
「あぁ・・・・それは、また」

たったそれだけの会話で全てを理解したフェイト。それなら仕方ないね。でもやり過ぎはだめだよ、と呟いてなのはに睨まれた。



「ねぇ、フェイトちゃん」
「何」
「帰ったら何か食べるものあるかな?」
「えっと、パスタならあるけど」
「それ、食べてもいい?」
「?でも食べてきたんじゃ・・・」
「ちっとも美味しくない食事なんて喉を通らないんだもん」
「ふふ、いいよ。じゃあさ、なのは」
「ん?」
「私にはなのはをくれる?」

耳元で小さく囁かれる言葉。なのはの返事はもちろんyes。緩むフェイトの頬に軽くキスを落とし、早く帰ろうと車に乗り込んだ。









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テーマ:魔法少女リリカルなのは - ジャンル:アニメ・コミック

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