好きこそモノの上手なれ

ほぼ百合成分100%(リリカルな感じ)で構成されております。但し過度の期待は禁物です。




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私の願い、あなたの想い :: 2013/08/30(Fri)

本当は全部書ききってから、と思ってたんですけどね
終わるまで時間がかかればかかるほど、ずっとUSBに
入ったままになりそうなので、書いたトコまであげます。

今回はなのはさんsideって事で。







□  ■  □  ■  □


「ありがとうございました・・・・」
「なのは、今日はもう上がっていいわよ」
「はーい・・・あ、雨だ」


最後のお客さんを送り出すと厨房の方から今日は上がっていいとの声が聞こえた。それに返事を返しながら何気なく表に視線を移すとつい今し方まで晴れていた空から雨がパラパラと降り始めていた。


「すぐ止むかな・・・」


窓際からまだ青さを残す空を見上げながらなのははそう独りごちた。





雨が上がるまでの間ここで時間を潰す許可を貰ったなのはは自分用にとコーヒーを淹れそれを手に店の奥の方へと歩を進める。窓際の二人掛けの席。そこに腰を下ろすとさっきよりも少しだけ雨脚の強くなった表通りへと視線を向けた。


「・・・・・」


ここに座ると決まって胸が痛む。分かっていてそれを続けているのは一体何の為なのか。あれからもう5年もたったというのにいまだに前に進めず、かと言って過去に戻る事など出来る筈もない。自分は一体いつまでここでこうして、来る筈のない人間を待ち続けるのだろう。そこまで考えて、「ふっ」と自嘲気味に笑みがこぼれた。


(待つ以前の問題かな。大体彼女が私を覚えている可能性なんてないも同じなのに)


半分ほどになったカップの中に残る液体を見つめる。あの頃、彼女の真似をして飲み始めたコーヒー。最初は苦くてとてもブラックでなんて飲めなかった。けれど、心を置き去りにしたままでも容赦なく過ぎていった時間は間違いなくなのは自身を成長させていて。あの頃よりも伸びた身長、あの頃よりも伸びた栗色の髪、そして何より、飲めなかった筈のブラックコーヒーを美味しいと感じる事が出来るようになったこの5年間は確実に存在していた。


いつまでもこのままじゃいけない、そう思いながらも今日もまた、なのはは5年前の彼女との時間を振り返り始めた。



















毎週火曜日と木曜日。彼女は私の両親が経営する喫茶店にほぼ毎回同じ時間に来店していた。注文するのは決まってお店自慢の特製オリジナルブレンド。彼女はそれをブラックで飲む。時々持ってきた文庫本を読んでいる事もあったけれど大抵はただぼんやりと窓から外を眺めているだけだった。


混雑している時以外は毎回同じ滞在時間、同じ席、同じオーダーだった彼女が何となく気になった当時14歳の私は、放課後部活動をしていないのをいい事に火曜日と木曜日はお店に立ち寄って、時々ウェイトレスの真似事をしながらずっと彼女の事を見ているのが日課になりつつあった。





「分かりやすいよな、なのはは」
「何が?」
「あんまり見てると逆に嫌われるぞ?」
「・・・意味が分からないんだけど」


お店でウェイターをしている大学生の兄に訳知り顔でそんな事を言われた時も、敢えて何も知らないふりをしながら彼女を見つめ続けた。



近くの高校の制服を来ていたから自分よりも年上だとすぐに分かった。けれど、彼女の名前も、どうして毎週同じ日にここに通うのかも分からないまま時だけが過ぎていっていたある日。席にコーヒーを持って行った時に珍しく顔をあげた彼女に声を掛けられた。


「あの・・・」
「っ・・はい、何か?」


ずっと見ていたから分かっていたはずなのに初めて間近で見る彼女の透き通るようなその赤い瞳に思わず息を飲んだ。そして、改めて綺麗な人だと思ったのと同時に、目が合っているせいで緊張して、早鐘を打つように忙しなくなる心臓の音が漏れ聞こえたりしないかと心配になった。けれど、彼女の方はそんな私の動揺など全く気にも留めない。当然と言えば当然なのだが、それが少し寂しいと感じてしまう自分に戸惑った。


「テイクアウト、お願いできますか?」
「分かりました。お飲み物だけになりますけど構いませんか?」
「はい・・・・このキャラメルミルクを・・・」


この日、彼女は初めてコーヒー以外を注文して、それ以降毎回帰る時にキャラメルミルクをテイクアウトするようになった。











彼女がそうやって店に通うようになって、少しだけ話をするようになって改めて、私は彼女に好意を持っている事を自覚せざるを得なくなった。もっと彼女の事が知りたい。もっと彼女と話がしたい。自分の事をもっと知って欲しい。名前を知りたい。名前を呼んで欲しい。そんな欲求が日に日に強くなり始めた頃、私の気持ちとは裏腹に彼女がお店に来なくなった。1週間たっても2週間たっても彼女は現れなくて、少しばかり話をするようになったからと言って彼女自身の話をした事などただの一度もなかったからこちらから連絡を取るなんてもちろん出来なくて。


会いたい、だけどどうしたらいいのか分からない。せめて名前だけでも聞いていたらと後悔ばかりが募っていた。そんな時だった。火曜日でも木曜日でもない、その日は日曜日で。だけど会いたくて仕方のなかった彼女がそこにいた。



「こんにちは」
「・・・こんにちは」
「いつものでいいですか?」
「え?あ・・・うん・・・ぁ、いや」
「はい?」
「今日はキャラメルミルクを」
「・・・はい、少々お待ちください」



力のない声量に少なからず動揺した。何となくほっそりと痩せこけた頬も気になった。そして何より、上下を黒で纏めたその服装に違和感を覚えて仕方なかった。けれどそれを尋ねる程私達は親しくはなかったから、すぐそこまで出かかっていた言葉を必死に飲み込んだ。





「お待たせしました・・・ぇ?」
「っ!ぁ、ありがとう」


キャラメルミルクをテーブルに置こうと彼女を見て思わず声が出た。私の驚いた声に自分の状態を悟った彼女が、ハッと息を飲んで慌てて袖口を目じりに当てる。


(何で、泣いてるの?)


余程力一杯擦ったのか、目じりが赤くなってしまっていた。


「あ、あの」
「ごめん、ありがとう」


大丈夫ですか?


これ以上傍にいて欲しくなかったのか、私の言葉は最後まで言わせてもらえなかった。











また来てくれるだろうか、と言う私の心配は、その翌週からまたお店に通ってくれるようになった彼女の姿にあっという間に意識の隅の方へと押し込められた。以前とは違ってやって来る日は火曜日でも木曜日でもなくなったのだけれど、そんな事はホンの些細な事に過ぎなかった。前と変わらない日常が戻ったと私は単純に彼女に会える事に浮かれていた。だから、かもしれない。彼女の心の傷に全く気が付いていなかった私は、その傷をえぐる様な事をなんの躊躇いもなく口にしてしまった。



「あの」
「ん?」
「ちょっと聞いてもいいですか?」
「何?」
「うちのキャラメルミルクはお口に合わなかったですか?」
「え?」


彼女が再び店に足を運んでくれるようになって、1つだけ気になっていた事があった。それは彼女が帰り際、毎回テイクアウトしていたキャラメルミルクを頼まなくなった事。久しぶりに訪れた彼女が店でキャラメルミルクを頼んだのを最後に彼女の口からその品物がオーダーされる事はなくなっていた。


それを尋ねた事にそれ程意味があったわけでは無い。ただ自分の為。私が彼女と話をするキッカケが欲しかっただけ。そこにたまたまキャラメルミルクというアイテムがあっただけの事。まぁ、返答によってはそれをお客さんの意見としてお父さんに話そうと少しばかり頭を掠めたのも事実ではあるけれど。



「少し甘すぎたかな」コーヒーを毎回ブラックで飲む彼女だから、そう言う答えが返って来るだけだろうと高を括っていた。私の言葉がまだ癒えぬ彼女の傷を抉ったのだと愚かな私はこの時はまだ全く気が付いていなかった。


俯いたままの彼女を見ても、さすがに店の人間に直接言うのは気まずかったかな?と勘違いしたままの私が、とんでもない事を口にしたのだと気が付いたのは、零れる涙を拭う事無く私を見つめた彼女と目があってからだった。



「え?・・・何で?」
「ごめんね」
「え?」


どうして私が謝られるのか全く分からなかった。


「キャラメルミルクはもう飲めないと思うんだ」


少し寂しそうに彼女が言った。


「口に合わないわけじゃないんだ・・・・・でも思い出すのは辛いから」
「え?それって、どういう・・・・え?」


本当にただ彼女と話がしたかっただけだった。それ以上でもそれ以下でもなくてただ本当に私は、彼女と・・・・。戸惑っている私に彼女は少しずつ、搾り出すように話し始めた内容は私の想像をはるかに超えるものだった。






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  1. リリカル パラレル
  2. | comment:0
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