好きこそモノの上手なれ

ほぼ百合成分100%(リリカルな感じ)で構成されております。但し過度の期待は禁物です。




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trick trick trick・・・・ :: 2013/10/31(Thu)

パラレルOLさん。

フェイトさん、なのはさん、はやてさんは幼馴染。
同年のフェイトさん、はやてさんと、2つ下の
なのはさん。


甘くて、優しい・・・・を目指したんですけど
どうでしょうか(´-ω-`;)ゞポリポリ



では続きからどうぞ。






□  ■  □  ■  □


ビル街にあっても、四季の移り変わりを感じられるようにと作られたニュータウンの一角。そのコンセプト通り、オフィスから見える景色は夏から秋へと移り変わった季節の、赤や緑や黄色といった色とりどりの木々があくせくと働く私達の心の癒しとなっていた。


窓から外を眺めると、近くにある保育園からは園児たちの元気な声が響いていてみな一様に同じ言葉を叫んでいた。もう間もなくするとこのオフィスにもその声が響くと思うと、ついつい笑みが零れてしまう。去年の同じ日、ここに越してきて初めてのそのイベントに準備の間に合わなかった私達は、あの子達から、悪戯と言う名の手痛い歓迎を受けた。

まぁ、それはそれで楽しかったのだが、流石に2年続けての悪戯は勘弁して欲しいと、今年はバスケット一杯にクッキーを用意した。あとはあの子達を待つだけの楽しい時間・・・の筈だったのだけれど。





そんな世の中の事情など知るか、と一蹴されそうな程張りつめた空気で満たされた室内。原因は1時間ほど前にかかってきた1本の電話。それを受けた担当者が、僅かに浮つき始めていた社員の顔から笑顔を消した。


必死の形相でデスクに向かうその社員を、それぞれの持ち場から遠目に眺める社員達。その誰もがみな彼女の事を心配していた。何故なら皆知っているからだ。彼女がそのプロジェクトにどれ程心血を注いでいたのかを。


それこそ朝早くから、夜遅くまで。何度も先方に通い、プランを練り上げ内容を吟味し、煮詰める。それこそ寝る間も惜しんで取り組んできた。それを先方も認めてくれて、まさに今日、この日。契約に至るはずだった。


それを、先程の電話一本で「なかった事」にされようとしている。理由は簡単だ。そのプロジェクトの発案がまだ知名度のない小さなオフィスだった事。そして、担当が女性であった事。




「ほんと、くだらない理由だ」
「けど、うちとこ切るには絶好の口実や」



クイと人差し指でブラインドを下げ、仕切の向こうを眺めながら、相手さんウチらの存在、ほんまは怖いんと違うか?なんてはやては言うけれど、それでも彼女の、なのはの気持ちを思うと悔しくて仕方ない。内容が他社よりも劣っていたのなら仕方がない。次に負けない様に頑張ろうと気持ちを切り替える。けれど、今回は違う。もう契約するだけの段階まできていたのだ。それを「女だから」という理由で切り捨てられようとしている。


「けど、あかんなぁ・・・」
「ん?」


なのは同様、理不尽な対応に頭に血が上りかけていた私の隣ではやてはポツリと呟いた。



「なのはちゃんや」
「なのは?」
「せや」
「なのはの何が悪い?今、必死に」
「阿呆、フェイトちゃんまで一緒になって頭に血ぃ上らしてどないするん?」


私の言葉を遮ってはやては呆れたようにそう言った。


「なのはちゃんが頑張ってるのはよう分かる。そうやなくて」
「何?」
「周り、見てみ?」
「周り?」


はやての視線を追ってオフィス内にいる部下達を見る。皆一見自分の仕事をしているようでいて、チラチラとなのはの方へと心配そうな視線を向けていた。


「みんなよう知っとるんよ。なのはちゃんがどんだけ頑張ってたか」
「うん」
「そんななのはちゃんに、何か手伝いたい思うても今のなのはちゃんには、周りを見る余裕なくなっとるやんか」
「あぁ・・・」
「そろそろ、フェイトちゃんの出番やないの?」
「私?」
「せや」


そんな事はやてに言われるまでもない。あの電話の直後、上司としてすぐになのはには話しに行っている。けど、なのはが言ったんだ。「もう少し私に頑張らせて」って。だから私は、手助けしたいのを必死に我慢して。



「なのはちゃんの上司のフェイトちゃんとしてやのうて」
「え?」
「なのはちゃんのパートナーとして、もっぺん話して来ぃ」


私の胸のもやもやをまるで知っているかのようにはやてはニカリと笑った。


「はや」
「お。外、賑やかになって来たなぁ」


口を開きかけたタイミングで、はやてが外から聞こえてきた元気な声に窓辺に近づいた。


「私らはちょぉ、あの子らと休憩してくるけど、後の事はフェイトちゃんに任せてええか?」
「・・・うん」


デスクでその存在をアピールしていたバスケットを手に、はやては後ろ手に手をひらひらと振りながらドアを開けて出て行った。途中なのはの気を散らせないよう気を配りながら他の社員に声を掛けていく。一人、また一人と後ろ髪を引かれるようなそんな表情を浮かべた社員が席を立ち始めた。その様子を眺めながら私は心の中ではやてにありがとうと呟いた。














なのはを残し室内に誰もいなくなった事を確認して私は自室を出た。両手に2つのマグカップをもってなのはに近づく。普段ならすぐに私の方に振り向くなのはも今日は書類に視線を向けたまま顔をあげる事さえしなかった。


「なのは・・・・」


持っていたカップをなのはの邪魔にならない場所へと置く。名を呼ばれてやっとなのはは顔をあげた。けれど


「仕事中は名前で呼ばないって約束だったでしょ?」
「・・・・もう、休憩時間だよ?」


言われるだろうなと思っていた言葉と一字一句違わぬ返事が返って来て思わず苦笑いを零す。


「え?・・・ってあれ?みんなは?」


顔をあげ、一瞬眉を顰めたなのはが私達以外誰もいない事にやっと気づき驚きの声を上げた。


「ん?あぁ・・・はや・・・社長と一緒に外にいるよ」
「外?・・・あ、そっか今日は・・」
「そ、ハロウィン・・・。保育園の子達がご近所を回ってる」
「それなら、私達も・・」
「いいんだ」
「え?」
「私達はいいんだ。来なくていいって。・・・・はやてが」


一度ははやての事を社長と呼んだ私が2度目に「はやて」と呼び捨てた事で察したのだろう。なのはは言いかけた言葉を飲み込み、あげかけた腰を再び椅子に下ろして大きくため息を一つ、吐いた。僅かになのはの肩から力が抜けるのを感じた。



「ごめん、なさい・・・」
「ん?・・・何が?」
「契約、私のせいでダメになるかも」
「まだそうと決まった訳じゃないでしょう?」
「そう、だけど」
「夕方、また行くんでしょう?」
「うん」
「何かプロジェクトの内容に不備でも見つかったの?」
「ないよ。こんな事いうのもあれだけど、凄く自信はあるもの」
「ふふ、そう言うと思ってた。頑張ってたもんね、なのは」


両手でマグカップを包むようにして持ちコーヒーを飲むなのはをデスクに腰掛けながら見下ろす。一緒に暮らしているのだ。このプロジェクトの為になのはが寝る間も惜しんで頑張っていた事を社内の誰よりもよく知っている。だから、尚更内容の良さに目を向けず性別だけで区別するようなやり方に腹が立つ。



でも、それを今ここで言っても何ひとつ解決はしない。



「先方へは私も一緒に行くよ」
「え?でも・・・」
「別になのはを信用していないからじゃないよ?むしろその逆」
「え?」
「一番信頼している部下の事だから」
「・・・フェイトちゃん」
「契約を交わすまでに両社でうまく話が進んでいたモノを、性別だけでひっくり返した向こうのバカな社長の顔を拝みにいくんだ」


ニヤリとそう笑う私に一瞬あっけにとられて、それから小さく吹き出しながら、手は出しちゃだめだからね?と幾らか調子の戻ってきたなのはに釘を刺された。








外では相変わらず子供たちの元気な声が聞こえる。その中で何故か一番はしゃいでいるような声を発しているのははやてだった。相変わらずこういうイベントは楽しくて仕方がないらしい。そう考えてちょっとした悪戯を思いついた。なのはに気が付かれないようそっと笑みを零す。





「ねぇ、なのは」
「ん?」
「trick or treat?」
「え?」
「だから、トリック・オア・トリート」
「・・私、お菓子なんて持ってないよ。だってみんな持って出て行ったし」


全く予想をしていなかったせいか、なのははなんの警戒もせずそう答え、私に向かって顔を上げた。


「・・・・お菓子がないなら、悪戯・・・だよね?」


タイミングを合わせ少しだけ前屈みになった私は、そう口にしながらなのはに近づき・・・








「っ!!な、な、な・・・・」


直後。ガタンっ!と派手な音を立てて今の今までなのはが座っていた椅子が倒れた。そして、ガヤガヤと今まで外にいた部下たちが続々と室内へと戻ってくると、なのはの尋常ならざるその様子に皆が注目した。


唇を両手で覆ったまま顔を真っ赤にして立ち尽くすなのはと、何が起こったのかを瞬時に悟ったはやて他数名。そして全く何が起こったのか理解できていないその他大勢。そんな三者三様の気配に満足した私は「さ。仕事、がんばろっか」と一声残しなのはに背を向けた。




戻る途中背後から「バカ!」とか「すけべ」とか言うなのはの叫びが聞こえたけど敢えてそれは無視して。休憩前とはうって変わった室内の柔らかな空気に一人満足の笑みを浮かべ私は自室へと退散した。

























当然、この後はやてさんに大目玉を食らいましたよ。フェイトさん(笑)


















そして




《おまけ》



夕方

「どうして、あの社長さん急に態度が変わったんだろうね」
「さぁ・・・」


先方の社長に殴り込み・・・ではなくて、もう一度話を聞いてもらおうと訪れた私達。けれど、社長室に通されるなり、その社長本人に「申し訳なかった」と頭を下げられた。なんだかよく分からない事を早口に捲くし立てるだけで内容は全く分からなかったけれど、何はともあれ無事契約は結ばれた。なのははその事をとても不思議がっていたけれど、きっとはやてが何かしたのだと私は考えていた。だって、会社を出る時のはやての笑顔は怖すぎた。私同様はやても相当怒っていたと言う事なのだろう。

まぁ、その事について深く追求するつもりはないけれど・・・。



「でもホッとした」
「そうだね」

社長室から出てエレベーターの中。二人きりになってやっとなのはにいつもの笑顔が戻って私も嬉しかった。


「ねぇ、フェイトちゃん」
「ん?」


きっとなのはも私と同じ気持ちだったのだと思った。エレベーターの壁に背を預け、肩を寄せ合った私達。私はなのはを抱き寄せよとうと腰に手を回そうとした・・・・・のだが。


「えっと・・・なのはさん?」
「なに?」


にこにこと笑うなのはにその腕をがっしりと掴まれそのまま壁に押し付けられた。


「なんで?」
「フェイトちゃん・・・trick or treat?」


私の質問には答える素振りを見せず、代わりになのはの口から出たのはどこかで聞いた言葉。



「え?あ・・・それなら」
「trick?」


思わずポケットに手を突っ込んだ。さっきここに来る前にたまたま貰った飴玉がある事を覚えていたからだ。けれど、間髪入れずに言われた次の言葉に私はあっさりとそれを手放した。



「お菓子は持ってないから、trick・・・かな」


ポケットに突っ込んだ手もさっきと同じようになのはに掴まれる。


「今度は私の番なんだから、フェイトちゃんはなのはに触っちゃダメだからね」


1歩、近づいたなのはは触れる寸前にそんな事を口にする。


「・・・いつまで?」
「下に着くまで、ずっと・・・・」



なのはのその言葉通り。エレベーターが1階へ到着したと知らせる音が鳴るその瞬間まで、なのはの甘い悪戯は続いた・・・・。




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