好きこそモノの上手なれ

ほぼ百合成分100%(リリカルな感じ)で構成されております。但し過度の期待は禁物です。




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12月20日のお話・・・ :: 2013/12/20(Fri)

なのはさん、フェイトさん共に35歳。
ヴィヴィオ15歳。なのはさんが20歳の時に引き取った子。
フェイトさんは数学教師で現在はヴィヴィオの担任。
なのはさんは両親の後を継ぎ現在は翠屋の店長。

高校時代、お互い恋心を持つもそれを伝えきれず
別々の進路に進みました。
二人はヴィヴィオを介して再会しました。

それを踏まえて続きに進んで下さいませ。







■  □  ■  □  ■


「・・・よし」

鏡の前で自分の顔を確認する。少しばかり緊張しているようにも見えるが概ねいつも通り。小さく頷き、服装を軽くチェックした。よし、小さく声に出して頬を緩める。うまくいくかは分からない。結局何も変わらないまま今日が終わるのかもしれない。それでも・・・。この日、1つの決意を胸に私はマンションを後にした。












「お待たせしました、高町さん」
「いえ」
「こちらにどうぞ」


どうぞと勧められた椅子に腰かける。対面には私と同じように生徒の椅子に座る娘の担任がいた。


「では、まず・・・今学期のヴィヴィオさんについて、ですが」
「はい」


何度も経験してきたはずだけど、こんな時はやはり緊張してしまう。特に今年は・・・。受験を間近に控え、成績にしろ生活態度にしろ何か問題があっては困ってしまう。けれど、そんな私の緊張とは裏腹に担任は終始にこやかだった。


「・・・目立った問題点はないですね」
「そうですか?」
「ええ。成績も順調に伸びてきていますし、普段の学校行事に取り組む姿勢もとてもいいです。生徒みんなからの信頼も厚いですし・・・何よりも本人が学ぶ、という事をとても楽しんでいるのがいいですね。色んな意味で賢いお子さんですよ」
「ありがとうございます。友人にも恵まて、学校がとても楽しいみたいで」
「あぁ、よくわかりますよ。あの子の周りにはいつもたくさんの友人がいて笑顔が絶えない。そうして気が付くとその中心になっているのは彼女です・・・・・」
「・・・え?」


まるで昔のキミを見ているようだよ。そう言葉を続けられてハッとする。いつの間にか、教師で担任の顔だったフェイト・テスタロッサ先生は高校時代の親友のフェイトちゃんへとその表情を変えていた。



「・・・私、真剣に聞いてるんだけど・・・」
「私も真面目に話してるよ?キミの・・なのはの娘のヴィヴィオは母親にとてもそっくりで。負けず嫌いで頑固者、何にでも全力全開に一生懸命。友人が大切で、家族が大切で、自分の事は二の次三の次。こっちが無理しないでって言っても大丈夫だからって笑顔を見せる。どこまでも頑張り屋さんなトコはもうなのはを見ているとしか思えないよ」


くすくすと声を立てながら、けれど何故か楽しそうに娘の、ヴィヴィオの事をそう言うフェイトちゃん。子を褒められて嫌な気になる親なんているはずないんだけど、いちいち昔の私の事を引っ張り出すのは止めて欲しいと思わなくもない。


「でも成績はヴィヴィオの方がいいでしょう?」
「ん?まぁ、その辺は・・・ほら、教える先生がいいから」
「何?それってもしかして自分のお蔭だって言ってる?」
「え?だって本当の事だし?・・・・ぷっ」


言い合って思わず噴き出した。こうしていると昔と何一つ変わらない。高校時代、目の前で笑っているこの人と一緒にいられる事をこの上なく幸せに感じていたあの頃を思い出して胸が痛んだ。






「・・・・はぁ・・・・さてと、先生のお話も終わりのようだし、私帰るね」
「ぁ、待って、なのは」
「え?」


一頻り2人して笑い合った。これ以上はもうここにいる必要もない。けれど、帰ろうと立ち上がりかけた私を、フェイトちゃんが呼び止めた。


「今度さ・・」
「何?」
「食事にでもいかない?」
「食事?」
「うん」
「一生徒の父兄とそんな事したら叱られちゃうよ?フェイトちゃん」


出来るだけ軽口にそう告げる。単なる食事への誘いだ、しかも高校時代のクラスメートへの。けれど私は動揺していた。フェイトちゃんに特別な想いがあっての事ではきっとないのだろう・・・でも、私は、そうではなかったから。


「まさか。高校時代の友人と食事するのに誰に遠慮するの?」
「そう?」
「そうだよ」
「そっか・・・うんそうだね。じゃあ、そのうち」
「25日」
「え?」
「来週25日に。実はもうレストランを予約してあるんだ」
「ちょっ!そんな急な話・・それに25日って・・・」


その内時間を作って。なんて適当に返事を濁すつもりだった。そうすれば忙しいフェイトちゃんの事だからきっと食事の約束をした事を忘れるだろう。来年になればヴィヴィオも卒業して、もうフェイトちゃんと会う事もないはずだから。そう考えての返事の筈だった。なのにフェイトちゃんはもう場所を確保してあると言う。しかも25日。その日は・・・


「クリスマスだね」
「無理だよ」
「どうして?」
「っ。だっ・・・その日はヴィヴィオと両親と過ごすって約束してるから」
「その後でもいいよ。予約の時間は8時って事にしてるし」
「そう言う問題じゃないよ」
「じゃあ何が問題?」
「なんで・・・・」


ふざけている様子は全くなくて、むしろフェイトちゃんの目は真剣そのもの。25日に、なんて誘われて意識しないでなんていられない。そうじゃないんだって自分に言い聞かせたってフェイトちゃんに焦がれ続けてきた私の心を偽る事なんて出来ない。


「・・・困らせないでよ」


それが私の精一杯の返事だった。








「・・・・私ね、教師になってからずっと生徒に言い続けてる言葉があるんだ」


少しの沈黙の後、フェイトちゃんが静かに話し始めた。


「大切な人に想いを伝えたいのなら、ちゃんとそれを言葉にしなきゃだめだって事」
「・・・」
「その人に気が付いて欲しいって願うのはただ自分が傷つきたくないだけの逃げでしかないんだ。本当に想いを届けたいのなら、傷つく事を恐れちゃいけない。自分の言葉でその想いを伝えなきゃ、何も始まらない、ってね」
「・・・・・ぃょ・・」
「え?」
「フェイトちゃんはずるいよ!そんな事分かってる。だから私はあの日、フェイトちゃんに伝えようとした!なのに・・・・来なかったのは、フェイトちゃんの方だよ・・・・」
「なのは・・・・」


限界、だった。立ち上がった弾みでガタンと座っていた椅子が倒れる。机に両手を付き俯きながら私は叫んでいた。あの日、高校3年の冬休み。12月25日に私はフェイトちゃんを呼び出した。それはずっと心に秘めていた想いを打ち明けようと思ったから。卒業すれば進路は別々で、会う事も難しくなる。だからその前に私のフェイトちゃんに対する気持ちを知って欲しかった。


クリスマスのイルミネーションが煌めく公園で私はずっとフェイトちゃんが来るのを待った。だけど、結局フェイトちゃんは来なかった。泣きながら家へ帰る途中、私はとあるレストランでフェイトちゃんを見かけた。男の人と楽しそうに笑っていた。その時、私は振られたんだなって思った。私と会ってそう伝える必要すらないと、そうフェイトちゃんは思ったんだ。


「はっきりフェイトちゃんの口から聞きたかったよ。他に好きな人がいるって。せめてそう言ってくれていたら・・・」


こんなにフェイトちゃんに未練が残る事はなかっただろう。倒れた椅子を元に戻す。もう用はないよね。フェイトちゃんにそう告げて私は彼女に背を向けた。


「なのは、待って。違う、違うんだ」
「何が違うの?言い訳は聞きたくないよ」
「見られていたって知らなかったから、知ってたらちゃんと言ってた。あれは、彼は、私の兄さんだ」
「・・・・今更まだそんな嘘を吐くの?フェイトちゃん一人っ子だったでしょう?」
「そうだけど、でもあの日からそうじゃなくなった」
「もういいよ、ホントにもういい・・・・」
「まって、なのは話はまだ!」


呼び止めるフェイトちゃんを振り切って私は教室を出た。後ろから追いかけて来たフェイトちゃんが私に向かって叫んでいた。



「25日待ってるから!。なのはが来てくれるまで今度は私が待ってる。ずっと待ってるから」



駆け出してしまいたいのを堪えて、けれど足早にその場を離れた。今はただフェイトちゃんから逃げ出したかった。













25日へと続きます・・・


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