好きこそモノの上手なれ

ほぼ百合成分100%(リリカルな感じ)で構成されております。但し過度の期待は禁物です。




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12月25日のお話 :: 2013/12/25(Wed)

『  サンタさんへ

コミケ三日目へ行けるどこでもドアが欲しいです
 
                ほのか  』




なんとかならんもんかね(汗)


メリークリスマース!!!!!

それでは12月25日のお話・・・続きからどうぞ








■  □  ■  □  ■


「はぁ・・・」


結局、なんの決心もつかないまま約束の25日になっていた。フェイトちゃんからはヴィヴィオを通して手紙が届いていて、それには予約しているレストランの名前と時間、そして


『なのはが来てくれるまでずっと待ってる』


とだけ書かれていた。







お互い独身で特にお付き合いをしている相手がいるわけでもない。なのに何故私はたった一歩を踏み出せないんだろう・・・。いや本当は分かってる・・・怖いんだ、私は。改めてフェイトちゃんの気持ちが私に向いていないと突きつけられるのが。だから素直にフェイトちゃんの誘いを受け取れないんだ。もっと早くにこの気持ちを捨てられていたら、十数年ぶりに再会した旧友との食事会を楽しめたのかもしれない。でも、


「・・・ねぇ、フェイトちゃん。この壁は今の私には高すぎて越えられないよ・・・・」


深くため息を吐きながら手紙を元通りにたたみ封筒に戻す。それをエプロンのポケットに無造作に放り込むと私はふるりと一度頭を振って、今晩の食事の準備に取り掛かった。














「予約を入れていたハラオウンです。少し早いですけど構いませんか?」
「もちろんです。お待ちしておりました。どうぞ、こちらです」


終業式を終え生徒達を送り出した後、今日中に仕上げなければならない資料だけを完成させて早々に学校を出た。もたもたしていて他の先生達の飲み会に誘われたくなかったのもあるが、なにより今晩のなのはとの事を考えると緊張してしまって落ち着かなかったと言うのが一番の理由だった。家に帰り急ぎ身支度を整えて、早いと知りつつ待ち合わせのレストランまでタクシーを走らせた。

レストランに到着し、予約していた私の名を告げると受付の女性が随分早い時間だと言うのに嫌な顔一つせずに予約席まで案内してくれた。街路樹に飾られたイルミネーションが良く見える窓際の席だった。予約の時間までまだ余裕があるので何か飲み物でも?と言う言葉にそれじゃあとコーヒーを頼むと女性は少々お待ちくださいと軽く一礼して戻って行った。



「なのは、来てくれるかな・・・」


外を眺めながら思わずそんな言葉が漏れる。正直今の私には「なのはは必ず来るよ」と断言できるだけの自信はない。左の袖口を少し捲る。時計の針はまだ7時を過ぎたばかりだった・・・・。











私となのはが親しくなったのは高校2年の時だった。なのはは通学組で私は寮。それまではそれほど接点があったわけではなく、ただ同級生と言う事でお互い顔だけは知っているという程度のものだった。2年のクラス替えで一緒になり、何かにつけて行動を共にするようになって、こんなにも波長が合う人間がいたのかと思うくらいになのはと過ごす時間が心地よくて、私達の距離が単なるクラスメートから親友とお互いの事を呼ぶようになるまでそう時間はかからなかった。


「凄く不思議なんだけど」
「なに?」
「なのはといると心が落ち着くんだ。嫌な事とか辛い事とか、そう言う事全部どうでもよくなっちゃう位に」
「・・・何かあったの?」
「あったって訳じゃないよ。ただ・・・」
「ただ?」
「・・・ううん、何でもない」
「そう?・・・変なフェイトちゃん・・・でも」
「でも?」
「私もね」
「うん」
「他の誰といる時より、フェイトちゃんといる時が一番素直な自分でいられる気がするの。家族・・とはまた別で、上手く言えないんだけど」


何もない訳でもなかった。けれど家族の事、自分の事、将来の事、その全部に不安を抱いていた私にとって、なのはと一緒にいて安らげる事が高校に通い続けるただ一つの理由になっていた。


3年に進級する頃には、私のなのはに対する気持ちが単なる親友に向けたものと違うという事には気が付いていた。けれど、それを口にして今の関係を壊す事だけはしたくなかったから、なのはにだけは知られない様にしようと常に意識していた。親友としてずっとそばにいられればいいと、この時の私はただ単純にそう考えていただけだった。


状況が変わったのは私達の進路がある程度確定した頃の事。ずっと私の面倒を見ていてくれた人が自分達と家族にならないか?と口にした事だった。早くに家族を亡くし孤独だった私の面倒を見てくれたのは母の古い友人、という女性だった。彼女の事は母と同じくらい好きだったし、年の近い兄がいると言うのも私には嬉しかった。ただその家の子になると言う事が生んでくれた母を裏切る事になるような気がしてずっと決心がつかなかったのだ。


そんな私の気持ちを変えたのはやっぱりなのはだった。なのはに友人として以上の想いを持つようになった頃から、私の彼女達を見る目が変わった。私をどんなに愛してくれていたのかを本当の意味で理解出来たのだ。あの人を母と呼びたいと思った。彼を兄と呼びたいと思った。そして何より・・・。いつか来る未来に、私は、私の「家族」に自分が心から愛した人だとなのはを紹介し共に喜びを分かち合いたいと思ったからだった。



高校3年の12月25日。「嬉しい知らせがあるのよ」朝から母は上機嫌だった。どうしたのかと尋ねると、正式に養子縁組が認められたのだと抱きつかれた。これで本当に家族ね、と母が涙を零すのを見て私も嬉しさに涙を零した。


「お祝いに皆で食事に行きましょうね」
「え?これから?今日は無理だよ。予約なしで入れる店なんてあるはずないよ」
「大丈夫、私に任せて」


はしゃぐ母を見ながら私と兄は呆れた顔を見せつつも内心は二人とも全く同じ心境だった。母の言葉通り、夕食時に合わせて予約をとれたレストランに出掛け、家族になってから初めての食事を私は心から楽しんだのだった。




明日にでもなのはに報告しよう。ずっと黙っていた事を謝って、そして新しい家族の話をしよう。そう考えていた。でもこの時の私は嬉しさのあまり忘れていたんだ。ずっと携帯電話の調子が悪くて前日修理に出していた事を。最悪の場合中のデータが消えてしまいますが、と言われていた事を。なのはからのメールは受信後、私が確認する間もなく消えてしまっていてそれを私が知る事はなかった。





今となってはそれが原因だったのだと知っているが、当時はそうではなかった。何故か冬休みの間中連絡が取れなかったなのはは冬休み明けから少しずつ私を避けるようになっていた。ちゃんとした理由が分からないまま、けれど私からその理由を問いただす事は出来なかった。問いただして、もう私といるのが嫌になったといわれるのが怖かったからだ。その事を口にさえしなければ、少なくともなのはは他のクラスメートと同じ様に接してくれていたから。まさか、こんなにも長くなのはと会わなくなるなんてあの頃の私は考えもしなかった・・・・。












コーヒーカップを持ち上げようとしてそれがすでに空になっていた事にやっと気づく。そのタイミングを待っていたかのようにさっきここに案内してくれた女性が私の元へとやって来た。


「あの・・」
「はい?」


彼女は言い難そうに予約の時間が過ぎたのですが、と口にした。時計を見ると既に30分程過ぎていた。私は随分と長い時間思考に飲み込まれていたようだ。


「もうすこし・・・」
「え?」
「もうすこしだけ待ってもらえますか?」
「・・・かしこまりました」


女性が持ち場へと戻る。予想していなかった訳ではないけれど、実際に来ない事を知るとやはり胸が痛む。なのはにはもうあの頃の想いは残っていないのだろうか。


「・・・なのは。それでも、私は・・・」


私が零した言葉は誰の耳に届くこともなく。店内の喧騒にかき消されていった。













なのはと再会するまで、私のなのはに対する気持ちはなくなったものだと思っていた。



私は高校を卒業してから1度だけ同窓会に参加した。もしかしたらなのはと会えるかもしれないと思ったからだ。けれど、なのははその同窓会には現れなかった。代わりに聞かされたのは、「高町なのはは20歳で母親になった」と言う予想外の事実。信じたくはなかったが実際に会ったという友人の話の後では嫌でも信じるしかなかった。あの時、私の中に芽生えた気持ちを伝えようとしなかった時点で私達に未来なんてなかったのだと、その時に思った。


その日から私はなのはを忘れる事だけを考えた。交際を申し込まれれば誰彼問わずそれを受けた。もちろんそんな付き合いが長く続くはずもなく、始まりと終わりを何度か繰り返すそんな事に疲れ始めた頃、本当はなのはに抱いていた気持ちは単なる憧れだったのではないかと思うようになっていた。自分にはない明るさと人を惹きつける天性の何か。眩しいほどのその存在に、私もなりたいと思っていただけなのではないかと。


不思議とそう思うと気持ちが楽になった。ぽかりと胸に空いた穴のような何かは埋まる事はなかったけれど、それでも苦しさからは解放された。その日以来、私は無理に自分を偽って誰かと付き合う事をやめた。



そうして母親になったなのはに再会するまで10年の歳月が過ぎていた。











「お客様・・・・」
「・・・・はい」


結局、ラストオーダーが過ぎる頃になってもなのはが現れる事はなかった・・・・。




























「ぁ・・・」


閉店で店の明かりが消えた。そのお陰で辺りのイルミネーションがさらにその存在感を増した。私は街路樹の一つに背を預けながら先程自販機から買ってきた缶コーヒーを口にする。時計の針はもう23時を回っていた。


「いい加減、私も諦めが悪いな」


誰に言うでもなくそう呟く。なのはが来ないと分かった今でも私はこの場から動けずにいた。こんな時間だというのに人の通りが途絶える事はない。みんなクリスマスを心から楽しんでいるのだろう。楽しそうに微笑み目の前を通り過ぎるカップルを見ながら私は残りの缶コーヒーを飲み干した。







































「ほんっと、いい加減にしてもらえませんか?」


そんな苛立ちを含む声が背後から聞えたのは私が一瞬店の方から視線を外した時だった。


「は?・・・・・え?なんで、君がここに?」
「そんな事どうでもいいんです。それより、あれ、なんとかして下さい!」


その声に振り向くと目の前にいたのはヴィヴィオだった。そして彼女があれと指さす先にいたのは・・・・


「なのは・・・」


何故か怒った顔のヴィヴィオよりも数メートル程離れた場所で、力尽きたような顔をしながらペタリと地面に座り込んでしまっているなのはだった。


「なのはっ!」
「・・・フェイトちゃん」


思わず駆け出して座り込むなのはの傍にしゃがみこんだ。


「どこか怪我でもしたの?」
「・・・フェイトちゃん・・・違うの」
「先生の顔見たら、ホッとして気が抜けただけです」
「え?・・・・ぁ、なんだ・・・」


ヴィヴィオの言葉にホッと胸を撫で下ろす。なのはの身体を支え立ち上がるのに手を貸していると、ヴィヴィオが真剣な面持ちで私の前に立ち塞がった。



「先生がママを泣かせたの?」
「え?」
「ヴィヴィオ!だからそれは違うって」
「ママは黙ってて!・・・ねぇ先生!・・・」
「・・・そうだね、ヴィヴィオの言う通りだよ。私がなのはを、君のママを苦しめて泣かせてしまった」
「どうして?」
「それは・・・話すと少し長くなる、かな・・・今日はね、会ってちゃんと謝りたかったんだ。ずっと辛い思いをさせてしまった事を謝りたかった」
「・・・・それだけ?」
「え?」
「ただ、昔の事を謝りたかっただけなの?」
「・・・・それは、違う・・・本当はもっと別の」
「待って、先生」
「え?」
「もういいから」
「でも」
「だって、それを言う相手、私じゃないでしょう?」


そう言ってヴィヴィオは私の隣でポツンと立つなのはの手を引いた。後はママが聞いて。そう言ってその背をポンっと押すと弾みでなのはがたたらを踏む。倒れこまないようなのはの肩を支えると、ずっと難しい顔をしていたヴィヴィオが嬉しそうに微笑んだ。



「難しく考えすぎなんだよ」
「え?」
「大人ってみんなそんな風に面倒くさいのかな?」
「それは・・・どう、かな」
「全部昔の事じゃない」
「ヴィヴィオ・・・」
「大事なのは今、2人がどうしたいか、なんじゃないの?・・・ママ達は何がしたいの?どうなりたいの?・・・私がいるから、なんて逃げないで、ママ」
「ヴィヴィオ・・」
「生徒の親だからって逃げないで。先生」
「・・・・」


私となのはを交互に見つめながらヴィヴィオが私達に問いかける。あぁ、そうだ。ヴィヴィオの言うとおりだ。いつまでも過去に囚われていたって何も始まらない。私達は「今」を生きてるんだから。



「参ったな」
「フェイトちゃん?」
「生徒に教えられるなんて・・・・・・ねぇ、なのは」
「うん?」
「私ね、なのはの事が・・・・」






午前0時を回る少し前。大忙しだったサンタクロースは最後の最後に私の元へとやって来た。誰もが待ち焦がれたサンタクロースの姿とは少し違っていて、綺麗なオッドアイの可愛らしい少女の姿をしていた。彼女は私がこの世で唯一心から欲しいと願ったものを届けに来てくれたのだった。



















★   


ここまで読んでくれてありがとうでした。
なのはさん視点では殆ど書かなかったので
唐突に始まりましたが、その辺は自己補完で(汗)


一応ですね・・・


高町家でクリスマスパーティー中、ふと姿の見えなくなった
母親の姿を探しになのはの部屋にやってきたヴィヴィオが
手紙と写真を見ながら泣いている母の姿を見つけてしまうのです。
驚いて問い詰めてみると自分の担任となにやら深い関係が
あるらしく。こんなところでウジウジ泣いてないで、
『行くよ!なのはママ』
と強引になのはを連れ出し、あの場面にぶち当たると・・・


まぁ、そんな感じですかね(笑)
大丈夫かな?ちょっと心配だけど、まぁいいか(笑)。





この後、ヴィヴィオに今日は帰ってこなくていいよって
言われるなのはさんとか、もう絶対ママの事泣かせないって
約束できたら付き合ってもいいよ。って言われるフェイトさんとか
いろいろ考えたんだけど全部蛇足っぽいから端折った(笑)



















今日は帰ってこなくていいよ。そうなのはに向かってにやける
ヴィヴィオをタクシーに押し込み、送り出す

「本当に1人で帰してよかったの?」
「うん、家にお母さん達がいるし、第一あの子いいだしたら聞かないから」
「あー、そう言えばそうだね」
「でしょう?」
「なのは譲りの頑固者だった」
「・・・否定はしないけど・・・」
「褒めてるんだよ」
「そう言うことにしておく」
「・・・・じゃあ、私達も帰ろうか?」
「うん・・・」
「タクシー、捜す?」
「ううん・・・このまま歩いて帰りたい」
「そっか・・」

それじゃあ、と差し出した右手になのはの左手が重なった。
まるで昨日もそうしていたかのようにごく自然に絡められた
指先に酷く安堵した。


「なのは」
「ん?」
「・・・なんでもない」


名を呼び、答えてくれるのが嬉しくて子供みたいな事をした。


「・・・・フェイトちゃん」
「ん?」
「・・・大好き」
「っ・・・」


けどいつだって、なのはの方が一枚上手だったと思い出していた。


































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