好きこそモノの上手なれ

ほぼ百合成分100%(リリカルな感じ)で構成されております。但し過度の期待は禁物です。




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恋は落ちるもの(by想いの欠片) :: 2014/07/02(Wed)

うーん・・・。


前半蛇足かしら・・・






□  ■  □  ■  □


天国から地獄とはこういう事を言うのかな・・・。
普段とは違う顔で笑う上司を目の前に、私はどういう行動を
とればいいのか分からなくなっていた。


そもそもの原因は全く予測の出来なかったゲリラ豪雨。
これがなければ私は、厳しいけれども頼りがいのあるこの上司に
変わらず憧れ続けていられただろうに。








「高町さん、準備は出来た?」
「あ、はい!大丈夫です」
「そう、じゃあ出掛けるけどいいね?」


取引先との大切な商談に直属の上司であるフェイトさんに同行せよと
通達されたのは当日の朝。元々一緒に行くはずだった私の先輩が
急病とかで出社出来なくなった事が原因なんだけど、よくよく話を
聞くとその先輩、こういう肝心な時に使えなくなる事で有名だったらしい。
なら最初からその人を外して人選するべきなんじゃ、と思ったけれど
それを私が意見出来る筈もなく。大抜擢だと大騒ぎする同僚に
見送られながら私は厳しさで定評のある上司と共に取引先へと
赴いたのだった。


商談そのものは何も問題なく進み、私はこの場に必要だったのかと
思う位フェイトさんがほぼ全てを取り仕切ってしまった。
そのせいかどうか。取引先に緊張して乗り込んだのがまるで嘘のように
気楽に、私は一傍観者としてフェイトさんの仕事ぶりを間近で
堪能する事が出来てとても満足していた。


その帰り、今日の商談の感想を聞かれそれにしどろもどろになりながらも
思った事を何とか口にすると、フェイトさんは「そう」と一言だけ呟いて
黙り込んだ。厳しくて口うるさいと評判のフェイトさんにしては珍しく
小言も何もなくて、あまりにも使えない私には(というか何もさせて
貰えなかったというのが正しいのだけれど)何を言っても無駄だと
思わせてしまったのかと、たった今まで浮かれていた気持ちは一気に
奈落の底に突き落とされた。


そんな時だった。


「え?」
「あ、雨・・・・って嘘」
「走るよ!」
「は、はい!」


突然の豪雨。
雨だと認識した次の瞬間にはもう大粒の雨がこれでもかと空から
落ちて来て、地面を濡らした。雨の気配など微塵もなかった今日、
当然傘など持ち歩くはずもなく、というか持っていても恐らく
それをさす前にびしょ濡れになっていただろう。
なんとか雨宿りが出来そうな場所に辿りつく頃には私達は二人とも
全身びしょ濡れになってしまっていた。


「・・・まいったな。高町さん、書類は?」
「えっと・・・あ、はい、何とか書類は大丈夫です」
「そっか、それが無事ならまぁ」

バックに仕舞われた書類を確認する。幸い防水には自信のある鞄に
入れられていたそれは仕舞い込まれた時と同じく綺麗な状態で
そこに収まっていた。これが無事ならとフェイトさんもホッと
胸を撫で下ろす。


とは言え・・・


「こっちの状態は最悪だけどね」
「・・・ですね」

ジャケットを羽織っていたから目立つことはないけど、濡れたシャツが
肌にべったりと張り付いて気持ち悪い。髪からもポタポタと絶えず
水が滴り落ちていた。
だけど、こんな時だというのに私は目の前のフェイトさんから視線を
逸らせずにいた。


水も滴るいい女・・・

正にこの言葉がピタリと当てはまるフェイトさんが濡れた髪を
掻き上げる。その時僅かに見えた襟足に視線が釘付けになる。
雨に濡れた唇を、多分無意識なんだろうけど舌先が拭う仕草に
会社では見ることの無い「艶」を見たような気がして心臓が
早鐘を打った。


「・・・さん・・・高町さん」
「え?、あ、はい!」

呼ばれている事にさえ気が付かない程意識を持っていかれていた事に
焦る。じっと見ていた事、気が付かれてないよね?慌てて返事を
するとフェイトさんは心配そうに私を見ていた。


「雨に打たれて具合でも悪くなった?」
「いえ、そうじゃないですけど」
「けど?」
「いえ・・・何でもないです」

貴女に見惚れてました。なんて言えるはずもなく、私は適当に
言葉を濁した。フェイトさんはそう、とそれについて深くは追求せず
変わりに「じゃあ行こうか」と前後の会話に全く噛みあわない言葉を
私に告げた。


「え?どこに?」
「・・・キミは・・・私の話聞いてなかったみたいだね」

フェイトさんの呆れた口調とそれに倣った視線。どうやら噛みあわないと
思っていたのは私だけの様で、私がぼけっとフェイトさんに見惚れて
放心している間に、何かを提案されていたらしい。すみません。素直に
謝った。実際聞いていなかったのだし、ここで誤魔化しても話を聞いて
いない事は既に知られてしまった。なら早い内に軌道修正した方が
いい。それに行動するのなら少しでも早くしないと、このままでは
本当に体調不良になってしまいかねない。フェイトさんも
同じく思ったのか、肩をすくめて一度息を吐き出して


「私の自宅が近所だから、着替えてから社に戻ろう」


真っ直ぐに見つめられて、そう告げられた。














「興味あるの?」
「っ!!」


手にした本に夢中になっていて、すぐ近くまでフェイトさんが
戻って来ていた事に気が付かなかった。




アクシデントとはいえ、憧れている女性の部屋へと足を踏みいれて
大人しくしていろと言うのが土台無理な話で。
フェイトさんが先にシャワーを浴びている間に私はリビングを動物園の
クマ宜しく、ウロウロと落ち着きなく歩き回っていた。

綺麗に整頓された室内は清潔感が漂っていて、あまり物を置く事を
好まないのか必要最低限の家具だけがキッチリと配置されていた。
黒を基調とした落ち着いた雰囲気はとても安心できて居心地がいい。

こんな部屋に住めたらどんなにいいか、と自分の部屋を思い描き
フルフルと頭を振った。と、そんな整理された部屋の中で一つだけ。
無理矢理押し込んだのだろうかと思われる雑誌が一冊マガジンラックから
はみ出ているのを見つけてしまった。

それは単なる好奇心だった。一体フェイトさんはどんな雑誌を読んで
いるんだろう。私が見るようなファッションの雑誌とか見たりするのかな。
そんな感じ。だから勝手に見る事に多少の抵抗はあったものの
それ以上何を思うでもなく、ごく自然に私はその雑誌に手を伸ばしていた。







「・・・・sexの、楽しみ方?・・・」


激しい後悔が襲ってきたのは、そんな文字を表紙に見つけた時だった。








「どうしよう」


考えるまでもなく元あった場所にそれを戻せばいいのだけの事に
気が動転したままの私は気が付かなくて。どう見たってこれは
その辺の書店で売られているような雑誌ではなく、所謂そう言う
行為をする為に参考にするようなものだと言うのはそのタイトルだけで
簡単に想像できた。自分は成人した大人で、こういう物を見る事に
制限される事はない。が、こういうものを見る機会が無かった事は
紛れもない事実で、そして全く興味がなのいか?と問われればそれは
「否」だった。


異性間恋愛のみならず、サブタイトルには同性間恋愛の文字もある。
それが尚更に私の好奇心を煽っていた。結局その気持ちに抗えず
私はその雑誌のページをめくっていた。







初めて目にするその本は自分の知らなかった世界が詰まっていた。
知らず知らずの内に夢中になって時間が過ぎるのを忘れていた私は
背後からフェイトさんに声を掛けられるまでここがフェイトさんの
部屋だと言う事すら忘れていた。



「随分熱心に読んでたよね」
「あ、その・・・これは。ち、違うんです。その・・・」

勝手にフェイトさんの私物を手にしていた事、フェイトさんが
来ていた事にさえ気が付かず、sexの教科書のような本に
我を忘れてのめり込んでいた事、何をとっても弁解の余地はなく
私はその場に立ち尽くすしか出来なかった。


呆然とする私の手からフェイトさんが本を抜き取る。ぺらぺらと
慣れた手つきでページをめくる。私はすぐにでもここから
逃げ出したかったのに、体は硬直したまま動いてはくれなかった。



「そんなに怯えなくていいのに」


会社では見た事がない笑顔を向けられた。その綺麗な顔にこんな時
だと言うのに見惚れてしまって思わず顔を背けた。
そんな私の耳に信じられない言葉が届く。


「彼女の忘れ物なんだよね、これ」
「え?」
「いや、私の私物を勝手に見た事気にしてるのかなって思ったから」
「ぁ、それは」
「ん?違うの?じゃあ、セックスの本に夢中になってる所を見られたせい?」


その両方です。とは口が裂けても言えない。あまりにもあっけらかんと
したフェイトさんの様子に徐々に体の緊張が解れ始めた。
それにしても・・・。今、彼女って言ったよね。フェイトさんって
お付き合いしている人いたんだ。それも女の人・・・・。


不思議な事にフェイトさんの相手が女性だと知ってもそれ程
驚きはしなかった。多分にわか知識とはいえ、あの本を見ていたから
だと思う。そして何より、あの本を見ながら私はフェイトさんとキス
している所を想像、してた。


憧れの上司。その想いは恋愛ではなかったと今朝の、いやさっきまでの
自分ははっきりと断言するだろう。けれど今は?。
たった今恋人がいると聞かされ少なからず動揺している自分がいる。


(私、フェイトさんを恋愛の対象として意識してる・・・)


それに気が付いたと同時に、私はどうにもならない現実を嫌でも
受け入れなければならなかった。だと言うのに目の前のこの人は
とんでもない事を口にした。




「私とシてみる?」
「・・・・・は?」


本を掲げながら言ったフェイトさんのその言葉を理解するのに
数秒の時間を要した。


えっと、この人何言ってるんだろう。今「してみる?」って言った?
それってあの本に書かれてる事をするって意味、だよね。
でも、フェイトさん彼女いるって・・・。聞き間違いだった?


「フェイトさん・・・さっき、彼女って」
「あぁ、そこはちゃんと聞いてたんだ」


別に構わないでしょう?笑いながら言うその言葉に耳を疑う。
構わない?何が?だって彼女でしょう?大切な人なんじゃないの?
その人を無視して私と?なんでそう言う事言えるんだろう。


フェイトさんの言葉を頭で否定しながら、どこかでそれを望む私がいる。
フェイトさんがいいって言ってるし、どうせこれが最初で最後。
フェイトさんの事、私「嫌いじゃない」。
お互い大人なんだから割り切った関係でいいじゃないか。
私は経験した事のない行為を、フェイトさんは恋人とは違う体を欲して。





ギュッと腰を抱かれハッとする。すぐ目の前にフェイトさんの顔があった。
間髪入れずに唇を重ねられる。その柔らかさと今まで経験したことの無い
気持ちよさに眩暈を感じた。僅かに開いた隙間から差し込まれる舌。
まるで生き物のようにそれは口内で暴れまわって、私を蹂躙していった。

直前までその言葉を受け入れていいか悩んでいたとは思えないほど
フェイトさんとのキスに夢中になっている自分がいた。だけど。

どれ位そうして唇を重ねていただろう。いつの間にか離れたフェイトさんと
目があった。何故か困ったような顔をしていた。フェイトさんの指先が
私の頬に触れそっと撫でる。ごめん。囁くような声が聞こえた。



「え?」
「そんなに嫌だった?」


そう言って目尻をフェイトさんの親指が撫でる。
この時初めて私は自分が泣いている事に気が付いた。


「私・・・これは。なんで?」


キスされてしまったことで頭ではそれでいいと割り切った筈だった。
なのに。・・・心が違うと悲鳴を上げていた。


「ごめんなさい。私・・帰ります」


もう仕事に戻れる状況ではなかった。フェイトさんと一緒にいるのも
辛くて逃げるようにしてリビングを後にした。
そんな私にかけられたのは思いもよらない言葉。



「待って・・・なのは!!」
「え?」


呼ばれた自分の名前に思わず足が止まる。どうして名前を呼ぶの?
一度だってそう呼ばれたことなどないのに。だけどそれはとても
自然にフェイトさんの口から出たような気がして。



でもそれを「何故?」と問う事は私には出来なかった。












伸ばした手は彼女には届かなかった。



「なんて、馬鹿なことを」



無情に閉じたドアに拳を打ちつける。



間違いなく自分は浮かれていた。好意を寄せていた彼女とほぼ一日中
一緒に行動できて。アクシデントだったとはいえ彼女を自宅にまで
連れて来ることができて。


ゆっくり打ち解けていけばいと思っていたはずなのに。



「どこで間違った?」



力なく床に座り込む。



キスした時は大丈夫だったよね・・・。いや、それもダメだったのかな。


彼女の泣き顔が目に焼きついて離れない。


私は一体どうしたらいいんだろう。






この時の私は、自分の不用意な一言がすべての原因だと
気づく事が出来なかった。













続かない・・・・


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