好きこそモノの上手なれ

ほぼ百合成分100%(リリカルな感じ)で構成されております。但し過度の期待は禁物です。




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インフルエンザ :: 2016/03/05(Sat)

タイトルまんまです。

クール系社会人フェイトさん×甘えたJDなのはさん






■  □  ■  □

小さな物音に落ち切れなかった意識が再び浮上を始める。
「…ん」
僅かに開いたドアの向こうから感じるのは大切な人の気配。
でも、今はまだ仕事中の筈だと時間を確認している内に、
こちらを窺いながら室内に入ろうとするから思わずダメ、
と口にすると、一瞬その動きを止めて、そして深く。
フェイトちゃんの口から溜息が零れ落ちた。

(怒ってるかな……、怒ってるよね…)
一緒に暮らしているのだから、黙ってやり過ごせるとは
思ってなかったけれど、出来れば今日のお仕事の邪魔をしたくは
なかったのにな、そんな思いが頭を過った。
「あ、あのね、フェイトちゃん……」
移したくないから、出来れば入って来ないで欲しいなって……。
ちゃんと言わなきゃいけないのに、喉まで出かかった言葉は思うように
声にならなくて。
「なのは…」
「ん…」
心配そうに顔を覗き込むフェイトちゃんは、体調が悪かった事を
隠していた私を怒っているようにも見えた。
「ごめ…なさ……」
熱で気持ちが不安定になっているせいか、不意に込み上げた涙に、言葉が詰まる。
なのにそっと額に触れてくるフェイトちゃんの手はとても優しくて。
「どうして、なのはが謝るの?」
「だって…」
「少しは反省してるのかな?具合の悪さを隠してた事」
フェイトちゃんの真面目な顔に、「うん」とただ小さく頷く事しか出来なかった。

「病院は?」
「行ってきた」
「一人で?」
「…うん」
だってもしインフルエンザだったら、大変だって思ったから。
私は大学を休めばいいだけだけど、もしフェイトちゃんに移しちゃったら…。
責任のあるお仕事をしてるフェイトちゃんに迷惑だけは絶対にかけたくなかった。
それなのに……
「寂しかったでしょ?」
「え?」
頭を撫でられながらそう言われて、また目頭が熱くなる。
泣いちゃダメだって。もっともっと心配を掛けちゃうから
ダメだって。頭では分かってるのに、あまりにも正確に私の
気持ちを言い当てられて。

涙を隠す様に毛布を目元まで引き上げる。
今朝はそんなでもなかった。
ちょっと風邪気味かなぁって思ってただけ。
だけど時間が経つにつれてなんだか頭が
ぼんやりとしている気がして。
熱を測ったらもう少しで38℃になるところで。
酷くならないうちに病院に行こうって決めて。
病院は風邪ひきやインフルエンザの患者さんで一杯で
そんな中に一緒にいたせいか、何だが病院に行く前より
具合が悪い様な気になったりして。
改めて熱を測ると38.5℃を超えちゃってて、ビックリした。
まさか、って思っていた事が現実になって
「インフルエンザですね」
って先生に、とっても事務的にそう告げられた。

大学を休む事ははやてちゃんには伝えていて、でも診察の結果が
こんなんだから、もう暫くお休みするね、ってLINEを送って。
授業中のはずなのにすぐに返信が来て思わず笑っちゃった。
フェイトちゃんには……。連絡を入れようと思ったんだけど
お仕事の邪魔しちゃったらダメだなぁって思ったから、後にしようって
そう思ったんだ。
そう思って、帰ってすぐにベッドに潜り込んだ。
貰った薬を飲んで、でも、当たり前なんだけどすぐに熱は下がる
訳じゃなくて。時計を見たらまだお昼にもなってなくて。
朝、フェイトちゃんが出掛ける時、少し今日は遅くなるかもって
言ってた事を思い出したら、これからの時間が何だかとっても長く
感じられて。そんな余計な事を考えたくなかったから早く
寝ちゃおうって思ったんだ。そうすれば、次に目が覚めたら
きっとフェイトちゃんも帰って来てるだろうなって思ったから。
なのに、熱のせいかなんなのか。
すーっと意識が落ちていく感覚はあるのに、
完全に眠りにつく事が出来なくて。
気が付いたら1時間毎にベッドの上で寝返りを打ちながら
時計の針が時を刻む音を聞いていた。
寂しいなって、思ったけど深くは考えないようにして。
だってそれを意識しちゃったらこの静寂に耐えられなく
なっちゃうから。
いつもなら何でもない、むしろゆっくりと進む時間を
心地よくさえ感じるのに、今日はそんな事なくて。
熱のせいで心細くなってるんだって、ちゃんと分かってるのに。
フェイトちゃんだって遅くなるけどちゃんと帰って来るんだって
知ってるのに。
考えちゃダメだって思えば思う程深みに嵌る思考。
もう寝ようって思うのに、眠れなくて……。
結局考えるのは早くフェイトちゃんに会いたいなぁって事だけで。
「寂しい」って声にしないだけで、本当はずっとそれが頭から離れなかった。

「なのは?」
「ん…」
黙り込んだ私を心配してフェイトちゃんの声のトーンが変わる。
あ、いけないって思って。心配しないでって言おうとして
「フェイトちゃん……」
「うん。もういいから」
フェイトちゃんを呼ぶ事しか出来なかった。
本当はね、寂しかったんだよ。
熱、下がらないし。
体、怠いし。
誰もいなくて、静かすぎて……。
そんな私の気持ちを全部分かってるみたいにフェイトちゃんは、もういいよって
ずっと頭を撫でてくれた。
それに安心して忘れてた。
あっ!
「フェイトちゃん、ダメだよ」
「ん?何が?」
「フェイトちゃんに移しちゃったら」
「ああ…いいよ、それでも」
「良くないよ。ダメだよ」
「別に構わないよ」
「構うよ。それじゃあ、私が嫌だもん」
「じゃあ、どうしたらいいの?」
「あのね、今日はフェイトちゃんは書斎の方で寝てね」
「……別にいいけど…なのははそれでいいの?」
いいも何も。ここじゃあベッドは今、私が寝てるのしかないし
ここで一緒になんて、とんでもない話だし。
本当はこの部屋に一緒にいるのだって移っちゃうかも、なんだし。
そういうの全部考えて別々に寝ようって言ったのに…。
また、フェイトちゃん「寂しくないの?」なんて。
「なのは……」
「だって…」
ずるいよ、そんな事言うの。
「熱、まだあるでしょ?」
「うん」
「夜中、苦しくなったりしたらどうするの?」
「ぅっ…」
「また、一人で我慢、しちゃうの?なのはは」
「……でも」
「ん?」
「フェイトちゃんに移ったら……やだ」
「移らないよ」
「そんなのわかんないよ」
「移るかどうかもわかんない事、今から心配しても仕方ないでしょ」
「そうだけど…」
やれやれってフェイトちゃん、何だか呆れた顔して。
「あのね、なのは…」
「ん」
「いつも思うんだけど」
「何?」
「こういう時に限って、なのはは甘えてくれなくなるよね」
「え?」
「いつものなのはでいて欲しいって思うのはダメなの?」
「いつもの?」
「そう、いつもの…甘えたがりのなのはサン?」
「っ……」
クスクスって笑うフェイトちゃん、どうしてそんなに楽しそうなの?
もう……。
「……別に甘えたがりじゃ……」
「違うの?」
「ちが……わ、ない…多分」
だってだって………。
はぁ…もう何を言ってもダメな気がする。
参ったなぁ…。
「私は、ここにいるよ?なのは」
「……うん」
そう言ってくれるのが嬉しくて、自然と頬が緩む。
寂しいって感情はすっかりと消えてなくなってしまった。
熱だって心なしか下がったような気がする……って
思ってたのに
「まだちょっと熱、高いかな」
現実はそう甘くはなくて。
体温計をみたフェイトちゃんの眉間にちょっと皺が寄った。
「少し眠るといいよ」
「うん」
額に乗せられたタオルがひんやりとして気持ち良かった。
今はもう…傍にフェイトちゃんがいてくれるから、安心して
眠りにつけそうな、そんな気がしていた。





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