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好きこそモノの上手なれ

ほぼ百合成分100%(リリカルな感じ)で構成されております。但し過度の期待は禁物です。




罪と罰が許されるとき :: 2011/03/08(Tue)



えっとですね、最初に謝っときます。ごめんなさい。
うん、なんか今日はそんな感じ。

最近生まれ変わったら~的なものを書いていて、
今日になって突然このSSがポンッと
浮かび上がりまして、頭からこれを出しておかないと
次が出てこないもんで(^^;ゞ。

書き始めたら一気にバーーーーーっと仕上がりまして(笑)。

終わりも救済的なものじゃなくてホントにそんな終わりだったんです。
私の中では、ハッピーエンドです。はい、誰がなんと言おうと( ;^^)ヘ..。

そんな感じでもいいよって方は続きからどうぞ。







前世の私は、この世の中で一番最悪な罪を犯した。
愛する人を殺し、自らも命を絶ったのだ。
自分のこの命よりも大事な大事な彼女。

ただ同性であるが故に2人の仲は引き裂かれた。
彼女は望まぬ結婚を強いられ、私は、
私を愛していると言っていた男に乱暴された。


彼女と引き裂かれ、自身も穢され、もうこの世に
未練はなかった。だから一人死のうとした。


彼女に愛していると告げ、初めて結ばれた日。
幸せだったあの頃を胸に私は一人で死んでいくはずだった。



カミソリを手に浴室へ行き、手首を切ろうとしたその時
部屋のドアがノックされた。
そのまま構わず事を成し遂げれば良かったんだ。
そうすれば、彼女を手にかけずに済んだのに。


けれど、2人だけのドアのノックの合図。
それに気づいてしまった私は、急いでドアを開けた。

目の前にいたのは、愛してやまない彼女。
けれどその瞳はあの頃の輝きを失い、その顔から
笑顔が失われていた。



堪らなくなって彼女を抱きしめたら耳元で

「私も連れて行って」

と呟かれた。驚いて、彼女と腕の分だけ離れたら

「一人で逝こうとしてたでしょ」

そう言われた。




何も言葉を返せずただ俯く私に、彼女は再度
自分も連れて行って欲しいと懇願した。



だめだ、いけない事だと頭では分かっていたのに
心が彼女と離れる事を拒んだ。気が付いたら
彼女を刺していた。慌てて抱き起こしたら
「ありがとう」と幸せだった頃と変わらぬ笑顔で言われた。



「私も、今行くから」そう耳元で囁いて、
彼女を刺したナイフで私も自身の首を突いた。






これが私の罪






私は何度生まれ変わっても、この前世の記憶と
繰り返される人生の全ての記憶を持って生れ落ちる。
あれから何度私は転生したのだろうか?
もう忘れてしまった人生も多い。

ただ何度転生しても、君の生まれ変わりの魂だけは
見つけてしまうんだ。けれど君は、私を知らない。
私を、私だと気づく事はなく、その生涯を終える。
私は何度その魂が浄化されるのを見届けただろうか。


そして、私はあと何度この魂を浄化させればいいのだろうか。
何度転生しても、この魂は浄化される事はないのだろうか。

なにも知らない君が、ただ私の前を通り過ぎるのを
見ているだけなのは耐えられない。苦しい。
けれど私は、そんな人生を繰り返す。




それが私への罰。




そして今、私は再び生涯を閉じようとしている。


けれど、今の私は満足していた。
だってキミを・・・・「なのは」を守って死ねるんだから。
















前世の私は、この世の中で最も重い罪を犯した。
私を愛してくれた人に、私自身を殺させたのだから。
そして、愛していた彼女自身をも自殺へと導いてしまった。

この命よりも大事で愛しい彼女。同性であるが故に
引き裂かれ、私は望まぬ結婚をし、彼女は愛を告げられた男に
乱暴された。


彼女と引き裂かれ、結婚した男は、私を汚いものでも
見るかのような目で見続けた。蔑まれ、罵られ
身も心も疲れ果てた。


ただ彼女に愛された日々だけが心の拠り所だった。



ある日家に帰ったら、見知らぬ女が男と身体を重ねていた。
別に愛していたわけでもなかったし、この男に情など
なかったが、私は彼女と引き離されて、この男は別の女と
身体を重ねている。そう思ったら、衝動的に家を飛び出していた。



家を出た私の足は、自然と彼女の部屋へと向かっていた。
部屋の前まで行って、ブザーを押そうとしてやめた。
この時、ブザーを鳴らしていたら、私達の未来は
変わっていたのだろうか?


けれどこの時私は、彼女と決めたノックの合図で
ドアを叩いていた。


出てきた彼女の顔を見て、一瞬で理解した。
全てに絶望して、諦めた目。
だから私は、彼女に抱きしめられながら

「私も連れて行って」

そう言っていた。


「一人で逝こうとしてたでしょ」

と尋ねたら俯いてしまった。だから私はもう一度懇願した。

「私も連れて行って」


すると彼女は私から静かに離れ、引き出しからナイフを
持ち出して戻ってきた。虚ろな瞳で私を見つめて、
ナイフを握り締めながら、私を抱きしめた。



身体を支えていられなくなって崩折れると、彼女が慌てて
私を抱き起こした。泣きそうな顔をしていたから頬に触れて
ありがとう、と幸せだった頃を思い出しながら笑った。

薄れ行く意識の中で私は、彼女の 今行くから と言う声を聞き
私を刺したナイフで、彼女自身の首を突いたのを見て息絶えた。





これが私の罪





私は何度生まれ変わっても、前世の記憶を持って生れる事は
なかった。私は、死のその間際でしか前世を思い出せない。
どれだけ生まれ変わっても、あなたの事は覚えておらず
その生涯を歩む。そして命果てるその時にやっとあなたの事を
思い出す。そして必ずあなたは傍にいた。


死の間際でしか思い出せず、それでもあなたの魂に気づいてしまう。
私の魂はどれだけ浄化されれば、あなたを見つけられるのだろう。
あと何度こんな死を迎えればいいのだろうか。

あなたと気づかず、何度もあなたを傷つける事が耐えられない、
苦しい。けれど私はそんな人生を繰り返す。




それが私への罰




そして、今私は再び生涯を閉じようとしている。
けれど、今の私は満足していた。だって思い出したんだもの。
今、死へと向かうこの身体を守ってくれた
「フェイトちゃん」の事を。





































































「・・・・生き、てる?」
「あら、目が覚めた?」


目を開けたら、白い天井が見えた。
そして私の顔を覗き込む、人懐こそうな顔。


「私・・・・生きてるの?」
「そうよ。一時は危なかったけど、もう大丈夫よ」
「そう・・・なんだ」
「あら、嬉しくないの?」
「・・・・そう、ですね。あのまま死ねた方が幸せだった」


そう言ったら、目の前の先生が

「あら、せっかく2人で助かったのに、随分悲しい事言うのね」


・・・・・・・・えっ?ふた、り?


その言葉に一気に心臓が跳ね上がる。

「・・・・・ふたりって」

やっと搾り出した声に答える先生は、とても優しい笑顔で
教えてくれた。


「あなた達、運ばれて来た時から手を離さなくてね
ずっと握ったままだったのよ。こんな事ありえないのに
手を繋いでいた方が、とても安定していたの」

「医者の私がこんな事言ったらいけないのかも知れないけど
不思議と絶対に助かるって確信があったわ。その代わり
物凄く大変だったけどね」


そう言いながら、ほら今も・・・・そう言って私の右手を
持ち上げた。


「あっ」


その振動で今度は彼女の目が開く。
私は慌ててその手を離そうとしたら、彼女の方から
ぎゅっと力を込めて握ってきた。それから私を見て
言ったんだ。



「やっと、会えたね・・・・フェイトちゃん」



「え?・・・・あっ・・・・・・な・・・・のは?」



「・・・・・・うん」



「わた、し・・・が、わかるの?」



「・・・・・・ぅん・・・・分かるよ、ふぇいとちゃん」



「あ・・・・ぁぁっ・・・・うぅっ・・・・・・・・なのは」






















ーーーーーーーー神様、ありがとうございます。
もう一度、彼女と生きる事を許してくれて・・・・・・






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  1. リリカル パラレル
  2. | comment:0
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